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執筆者の写真一雄 秋穂

ガイア理論って知ってます?


結構前になるのですがNHKの特集で人体の細胞の話が取り上げられていいました。その番組の中では私達のからだはおおよそ60兆個の細胞から出来ており、毎日そのうちの20%にあたる15兆個が死んでは、再び再生するという事をを繰り返しているのだそうです。考えてみると毎日からだの五分の一が死んでいると思うとぞっとしますが、幸いにもその細胞達は口を持っていません。もしその細胞ひとつひとつに意思がありそれぞれが「まだ死にたくないよ。」とか「今度生まれ変わるときもまた赤血球細胞として生まれ変わりたい。」などと話していたら本当にやかましくて仕方がありません。細胞達は私のからだを維持してくれる為に日夜もくもくと働いてくれて、そのお役目を終えると静かに次の細胞へとバトンタッチして私のからだをつないでいってくれているのですね。『縁の下の力持ち』とは彼らの事をいうのかも知れません。


話は変わりますが、私達の住む地球そのものが大きな生命体であり、地球自体が環境維持の為に恒常性を持っているんだという『ガイア理論』という考え方があるそうです。NASA勤務の大気学者であるジェームズ・ラブロックという科学者が提唱したものらしいのですが、それによると地球の環境や生物の生態系などは、地球がまるでひとつの生命体であるかのようにバランス制御をしており、地球環境の変化は私達人間が人為的に関与出来るものではなく、より大きな地球自体の大いなる意思に基づいていると仮定している。ということは私達人間も地球という生命体の恒常性の一端を担う細胞のような存在であり。私達ひとりひとりの行動も微弱ではありながら、地球の生命を維持する為に関与しているとも言えるのではないであろうか。地球全体からすると取るに足らない名も無き細胞のひとつであったとしても、それこそ縁の下の力持ちとして無くてはならない存在、かけがえの無い存在であるに違いありません。


私は今まで生きて来た中で、からだひとつひとつの細胞を個別の存在として意識した事はありませんでしたし、この細胞は骨の細胞で、こっちの細胞は神経細胞でと言うように区別してからだを見た事はありませんでした。ただ『私自身が生きる』という目的の中で合目的に細胞達が上手に役割分担をして、それぞれの持ち場でそれぞれの生命維持活動を行い、私の生命をつなぎ生かしてくれているのです。それを考えると私達人間だけが、人種や民族で区別し、地球の表面に勝手に国境と言う線を引き、あたかも地球が人間の所有物であるかのようにふるまい。人間の好き勝手に環境をコントロールしようと躍起になっていますが地球という大いなる生命体の中ではそんな行動自体もからだの表面に巣食うバクテリアの存在程度のものなのかもしれません。私自身も達人間も地球という生命をこの先も持続させていく為のより良い細胞のひとつでありたいと思います。そのように考えた時には、私とかあなたとか言う様な個体としての区別の無い大いなる生命の一部としての調和の中で解け合う事が出来るのかもしれません。


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