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執筆者の写真一雄 秋穂

歩み入る者に やすらぎを 去り行く人に しあはせを

 あきほ整骨院で一緒に仕事をしてくれる人に必ずお話しする言葉があります。『歩み入る者に やすらぎを 去り行く人に しあはせを』と書かれてあります。この言葉は私が整骨院を開業する際に、恩師からいただいた額縁に書かれていた言葉でドイツのローテンブルグにあるシュピタール門という古城の門に刻まれた言葉です。



原文はラテン語で『Pax intrantibus, Salus exeuntibus』(来る者には平和を、去る者には無事を)と書かれているということです。


 この言葉は2007年にNHKの連続テレビ小説『どんと晴れ』の中でも取り上げられ、

老舗旅館のおもてなしの心を的確に表現してありました。

 恩師からこの額を頂いた時から、この言葉は僕の一番好きな言葉となり、私の整骨院作りの基本理念として初心忘るべからずと、整骨院の一番目立つところに飾って置くことにしました。

 この言葉が刻まれた中世のドイツは小国の領主達が領権争いが繰り広げられていたころです。自国の領地から一歩足を踏み出せば常に危険と隣り合わせの命がけの旅となったに違いありません。目的地にたどり着いた時の安堵感といいうものは常夏のハワイからマカダミアナッツを山のように抱えて自宅に帰った時の比ではないでしょう。(根本的に比べることがまちがっていますが・・・)城壁に守られ食糧があり、人のぬくもりがある。それだけでも命を守れられている安心感と、生かされているという感謝の気持ちを感じることが出来たのではないでしょうか。

 現代では町の外に出ても猛獣が牙をむいている訳ではないし、盗賊が待ち構えている訳ではない。『一歩外に出たら百人の敵がいると思え!』という位ですから常に社会という見えない敵に脅かされているのかもしれません。そんな現代社会によって疲れたココロとカラダがここで少しでも安らぎ癒される場所でありたい。ここから出る時にはほんのちょっとでも希望の種を持って帰ってほしい。何も特別な御馳走が出るわけではないし、とびっきり贅沢なサービスが提供されるわけでもない、それでも誰かにとって安心していただける場所になれば良いな。日々、この言葉のことを思いながら日々の治療を心掛けるようにしています。


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